「ぼくらのバラード」第一回をアップしました。 fabuloushunter.hateblo.jp
はてなブログにて、新連載小説スタート タイトル「ぼくらのバラード」 高校軽音楽部を舞台にした青春小説(?)になる予定です。 三ツ色
久しぶりに外食らしい外食をした。 少しばかりの贅沢。 自分たちに許そう。 彼女がそう言った。 私たちの記念日になる日である。 それでも、ランチの時間帯を選んだ萌花が愛おしい。 イタリアン。 彼女が働いていたのはフレンチレストランだったが、この日選…
しおかぜ町もお彼岸である。 当たり前か。日本中がそうである。 カノンのお墓参り。 思えば、萌花のフランス行きの前に 始めてふたりで来たのだった。 fabuloushunter.hatenablog.com あの日は暑かったが、 今日は風が強くて寒い。 ときおり雨も降る。 それ…
萌花が、無事にフランスから帰国した。 エッフェル塔のキーホルダーをくれた。 修学旅行のおみやげみたいだ。 ルーメンも同時に帰国したが、 行かなければならない場所があり、 空港で別れたらしい。 石川県に知り合いがいて、震災のお見舞いとのこと。 えら…
今日は公立中学校の卒業式だ。 知り合いの真田さんの息子、翔太もめでたく卒業である。 それにしても、高校入試が終わって 即、卒業式とは、15の春は忙しいものだ。 式に向かう彼の両親に出会った。 きっちりとした服装をしている。 「おお、三ツ色さん、怪…
今日と明日は、公立高校の入学試験だ。 しおかぜ町にも受験生はいる。 当たり前か。 真田翔太もそのひとりだ。 しおかぜ町から2023/04/11 - しおかぜ町から すでに併願先の私学は合格しているので、 気分的には余裕を持って臨めるだろう。 第一志望校の吹奏…
しおかぜ町も季節が進む。 気が付けば、早春を告げるような花が咲いていた。 長い時間に感じたが、 萌花のフランスでの残務整理も あと一週間もすれば終了する。 ありがたいことに、遠く離れていても 日本語でメッセージは入ってくる。 「LINE」はえらい。本…
(日本の)早朝に、萌花からビデオ通話のリクエストが来た。 間もなく引き払うことになるアパルトマン。 そして萌花とルーメン。 「ヤッホー。センセー。センセーの大事な人と合流したよ」 さすがに「三ツ色に抱かれた女です」は封印してくれたようだ。 占い…
萌花がフランスへ。 二週間ほどの不在とはいうものの、 一度二人で暮らし始めたものだから、 あらためてひとりで部屋にいると 妙に手持ち無沙汰と言うか、寂しいと言うか、不思議な感覚である。 LINEでのやり取りはできるのだが、 やはり、それでは物足りな…
明後日から、萌花が一度フランスに戻る(行く? どっちだ). それで、バタバタしている。 私の入院で、とりあえずのバッグひとつで帰国したものだから スーツケースがない。 かといって、あちらのアパートにはでかいケースが置いてあるから ふたつ引っ張って…
日が経つのが速い。 気が付いたら、確定申告が始まっていた。 納税の義務。 三ツ色だって確定申告をする。 去年から電子版で申告しているのだが、 これはこれでややこしい。 「e-Taxなら自宅で簡単に」 みたいなことで宣伝しているが それほど簡単ではないで…
「黒崎さん、合格したって」 萌花のLINEに連絡が来たらしい。 前後して、私の携帯に着信。 キンパッつぁんからだ。 「黒崎が、第一志望に合格しました」 芸術学部の演劇学科。 彼女の受験直前に、私が事故にあったので ほっとすると同時に、申し訳ない気持ち…
退院した。幸い後遺症も無く、あばらと鎖骨の痛みも、ほぼ無くなった。 およそひと月ぶりの自宅。 しかも萌花がいる。 「荷物はそれだけ?」 キャリーケース2つが、彼女の荷物だ。 「着替えと身の回りの物くらいだから。 要るものがあったら、取りに帰るし…
新章「三ツ色日記」を 明日2024/02/13、スタートし 「しおかぜ町から」の便りを お届けします。
退院した三ツ色。 萌花との生活がスタートする。 穏やかな暮らしを望むふたりだったが、 そこは、しおかぜ町。 周りにはクセの強い住人が多い。 なにかと、巻き込まれるのは いつものことだが、 三ツ色と萌花は協力して…… 未来に向かっていく(はず)。 間も…
というわけで しおかぜ町から2024/02/02ノロケていたら、退院が決まる - しおかぜ町から 退院が決まったものだから ベッドの購入を急がなければならない。 「だから、いいって、急がなくても」 萌花は言うが、そんな訳にもいかない。 彼女のご両親に申し訳な…
「ベッド、どうしようか」 萌花がきわどいことを言う。 まあ、ご両親公認だからいいんだけど。 「三ツ色さんのベッド、セミダブルでしょ」 そうですよ。 カノンがいたときは、2台並べて置いていた。 六畳ほどの部屋にギリギリの大きさで、 足元の方からよじ…
承前 しおかぜ町から2024/01/26さらに病室にて - しおかぜ町から 「私、三ツ色さんのところに引っ越す。そういう話で、どうでしょうか」 いやいや、それはいいことだ、とは言いにくい。 「ご両親が、どう思われるかなあ」 しかも、番地こそ違えど、同じ町内…
事故からもうすぐ三週間である。 なんとか起きあがることができるようになり、 脚は無事なので歩いたりはできるが、 依然、いろんな箇所が痛むので たいていはベッドで過ごしている。 頭を打ったし、事故直後は意識を失ったりしていたのだが、 幸いアホには…
前回 しおかぜ町から2024/01/17萌花と樹里亜、遭遇 - しおかぜ町から 病室で騒いではだめだよ。 萌花が高校生軍団を連れて出て行った。 二十分ほどして萌花だけが戻ってきた。 LINEを交換して、記念撮影(何の記念だ?)をしてきたらしい。 すっかり仲良くな…
萌花のキャリアと同様、 黒崎樹里亜さんの受験も気がかりだ。 もう直前である。 ここにきて、私がこんな状態だ。 動くことは禁じられている。 警察の事情聴取もある。 事故に関しては、圧倒的に相手方の過失である。 向こうも認めているらしい。 ややこしい…
ありがたいことだが、一晩中そばにいる勢いだった。 そんな萌花だが、彼女も疲れている。 なにせ急遽、地球を半周してきたのだ。 頼むから、君も休んでくれ。 そう言って、帰らせた。 ご両親も来られていて、ますます申し訳ない気持ち。 点滴にいりいろなモ…
地面に横たわって青空を見た記憶がある。 (あとで聞くと、数メートル吹っとんだそうだ) 次の記憶は(おそらく)病院の白い天井だった。 『エヴァンゲリヲン』の見知らぬ天井みたいな感覚だ。 だが、それも一瞬だった。 すぐに眠ってしまった(もしくは気絶…
しおかぜ町も成人の日である。 市のホールの前に、新成人が集まっていた。 気のせいかも知れないけど、人数少なめ。 少子化の影響なのか? 私の気のせいなら、いいのだが。 市民ホールは川沿いにある。 しばらく歩いていると、なんと、 キンパッつぁんと出く…
しおかぜ町も正月が終わった。どこもいっしょか。 正確には、まだ松の内なのだろうが やはり三が日が過ぎると、 普段通りの生活リズムになる。 年賀状の整理や、捨てられなかったゴミ出しなどを しているうちに、半日過ぎた。 「年賀状は今年でおわりにしま…
しおかぜ町も正月である。 ただ、能登の地震。 輪島には知人がいる。 今のところ連絡は取っていない。 私の安否の確認に応答している余裕はあるまい。 いずれ、お見舞いを送る。それがいいと思う。いくら心配したって、しおかぜ町にいる私が、役に立つとは思…
しおかぜ町も年の暮れである。 三ツ色だって大掃除をする。 しばらく無視していた浴室の 浴槽の裏や下を 高圧洗浄機で洗ったら びっくりするくらいヘドロ状の水垢が出て来て 気絶しそうになった。 マメにしないとだめだね。 今年最後の、黒崎樹里亜さんのレ…
萌花と同居していた、”さすらいの占い師”ルーメンが 移動することを決めたらしい。 もともとヨーロッパをさすらうつもりだったのだ。 すでに、二ヶ月以上萌花のアパートに滞在してくれた。 「萌花ちゃんは大丈夫だし、私もそろそろ動かなきゃ」 モニターの向…
しおかぜ町にも、今シーズン最強寒波到来である。 極寒の中、宗介さんからお誘い。 「沖縄料理、どう?」 ウチナンチュの内名さんが働く沖縄居酒屋。 私も、ホイホイと出かけた。 寒かろうがなんだろうが、呑みたい連中はいる。 店は賑わっていた。 「予約し…