しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

神戸にて2023/03/29しおかぜ町から

暖かいから、コートはいらないか。

そう思って、外出したとたんに

クニエダさんに会った。95歳のクニエダさんだ。

寝袋みたいなダウンコートを着ている。

有名な登山用品メーカー。冬山でも凍死しないヤツ。

私の顔を見て、コココと笑う。

『キングダム』の王騎将軍か。

年取ったら、暑さや寒さは感じなくなる。そう言っていたはずだが。

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「いつまでも寒いねえ」

 とびっきりの笑顔で言われた。

「そうですね」

 そう答えるしかない。

「風邪、ひかないようにしてください」

 クニエダさんの肩を抱く。

それじゃと言って、駅へ向かう。

ちょっとわざとらしかった。

 

 神戸へ。

3時のアポ。二時間近く時間がある。

昨日から思っていたこと。実行しよう。

 

神戸の地理に詳しい方なら

おわかりいただけると思う。

大倉山、文化ホールの東側、宇治川という川がある。

この川沿いの道が、なかなかの桜街道なのだ。

神戸で働いていたとき、

この道を何度も往来した。

春のこの時期は、ほんとうに印象深かった。

昨夜、ベッドの中で、

行きたいなあと思った。

 

行ってよかった。

夢のようだった。

まだ死なないけど、

死ぬときに、一瞬思い出すかも、と思った。

そんな景色だった。

 

ふわふわした気分で、アポイント先に行った。

帰って名刺を見た。

吉田氏は「こいつ大丈夫か?」と思ったかもしれない。

 

 

ウソです。することはした(はずです)。