しおかぜ町は雨上がり。
昨日より、ずいぶん涼しい。
昼前に、
真田さんの息子の翔太と出会う。
中学校三年生。
まだ、授業をしている時間だが。
「おや、どうした?」
「熱があるんですう。なんか、コロナかもしれないから
帰れって」
あれあれ、おいおい。
2類から5類になったとか、
マスクは個人の判断だとか。
世間は楽観ムードだ。
「三ツ色さんは、マスクしてるんですね」
「ヒゲ、剃ってないからね」
「そういう問題ですか」
なぜか、やんわり怒られた。
「そんなこと、どうでもいいから
早く帰って寝てろよ」
うーんと言って、考えている。
「家、誰もいないからなあ」
「しょうがないなあ、何か食べるものあるか」
「いえ、何も」
「もう、何、食いたい?」
「え、買ってきてくれるんですか?」
「コンビニだぞ」
「もちろんです。えっと、とんかつ弁当がいい」
たく、そんなもの食えるなら大丈夫だろうよ。
届けてやったら、笑顔で受け取った。
リビングからテレビの音が聞こえている。
翔太、
『ヒルナンデス』なんて観てないで、
とんかつ食って、おとなしく寝てろ。
夜になって、父親から電話があった。
弁当のお礼と、息子を病院に連れて行ったとのこと。
めでたし。