桜花賞である。
若い牝馬のレースなんて、予想できないよ。
『エルベ』で、ミルクティーを啜りながら、呟いたら、
香田さんが解説してくれた。
「だから血統だよ。
リバティアイランドの父方には
それはそうかも、ですけどねえ。
ゴリゴリの一番人気に投票するのも、なんだかなあ。
競走馬にとって血統は重要だ。
良血を求めて、千万単位の金が動く。
実績のある種牡馬は100,200と種付けをする。
そうなると何十億の世界である。
それだけ、血統には価値があるわけだ。
でもなあ。
血で、全部決まってしまうのは夢がない。
そう考えるのは、ロマンチックすぎるだろうか。
まさかの下剋上。
そういうのも見てみたいじゃないか。
そう考えると、予想が難しくなる。
どうすりゃいいんだ。
意見を言うと、香田さんが笑う、鼻で。
「わかるよ、わかりますよ。
そういうこともあるからね、実際。
せやけど、勝ちたいならデータ。血統」
わかってるんだけどね。頭ではね。
期待したいじゃない。エリートじゃないものに。
そういうもんでしょ、人間は。
そして、今日も〝中穴〟狙いになるのだ。
ええい。
来たら、おいしいぞ。