しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

『三ツ色日記』2024/03/18萌花帰国

萌花が、無事にフランスから帰国した。

エッフェル塔のキーホルダーをくれた。

修学旅行のおみやげみたいだ。

ルーメンも同時に帰国したが、

行かなければならない場所があり、

空港で別れたらしい。

石川県に知り合いがいて、震災のお見舞いとのこと。

えらいな、ルーメン。驚くべき顔の広さだ。

しかし、そもそも彼女の自宅はどこにあるのだ?

基本、旅の空の下である。

神戸におばあさまがお住まいなのは聞いているが、

ルーメンの住民票があるわけではなさそうだ。

まあ、神秘的な自分を演出しているのかもしれない。

そのルーメンが、萌花を助けてくれた。

おかげで、萌花のフランスでの残務整理は終わった。

「ルーメンさんのおかげだよ。家具なんかも、高く売れた」

 

というわけで、いよいよ本腰を入れて働き口を見つけなければならない。

人手不足と言われてはいるが、業種にもよるだろう。

「やっぱり、飲食業かな」

留学は中止したが、彼女のワインの知識が人並み以上なのは間違いない。

「そうだといいけどね、へへへ」

 

とりあえず、2,3日は休んでいいかな。

眠そうに萌花が言う。時差もある。

当然だ。

「晩メシは寿司でもとろうか」

「いいのかな、そんな贅沢して」

「まあ、まだ、それくらいの蓄えはあるさ」

「うん。うれしい。お寿司だあ」

ひとりの食事が続いていた。私もうれしい。

日常が戻って来た。