というわけで
しおかぜ町から2024/02/02ノロケていたら、退院が決まる - しおかぜ町から
退院が決まったものだから
ベッドの購入を急がなければならない。
「だから、いいって、急がなくても」
萌花は言うが、そんな訳にもいかない。
彼女のご両親に申し訳ない、
と言うか
顔を合わすのが恥ずかしい。
ところが萌花はもっともな理由を言う。
「だってさ、とりあえず私、
いったんフランスに戻って、
後始末してこないといけないから」
確かに。
あわてて帰国することになった彼女は
働いていたレストランの契約や
暮らしていたアパートがそのままになっている。
「二、三日で片付くとは思わないし」
十日から二週間はかかるだろうと言う。
もっともだ。
「それからでいいよ、ベッドや家具、買うのは」
まあ、そうかもしれないけど。
て言うか、もう新婚夫婦の話し合いのようだが。
「てへへ」
萌花がとびっきりの笑顔で笑う。
私が、怪我をしたのは
それなりの必然だったのだろうか。
そう思ってしまうような、
二月の節分の午後だった。