しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

「三ツ色日記」2024/03/20お彼岸

しおかぜ町もお彼岸である。

当たり前か。日本中がそうである。

カノンのお墓参り。

思えば、萌花のフランス行きの前に

始めてふたりで来たのだった。

fabuloushunter.hatenablog.com

あの日は暑かったが、

今日は風が強くて寒い。

ときおり雨も降る。

それでも、かなり長い時間お参りしていた。

帰る頃には、すっかり体が冷えた。

「どこか寄るか」と尋ねると、

「いい、寒いから早く帰ろ」と萌花が言う。

それでぼた餅を買って帰ってきた。

仏壇に供える。

春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」。

粋なものである。形状やあんの違いもあるのだが

季節の花の名前に由来しているという。

萌花のジェットラグ(時差ぼけ)も解消され、

明日から仕事探しを本格的に始めると言う。

実は、私はそんなに心配していない。

接客には慣れているし、ワインや料理の知識も豊富だ。

それに(私が言うのも何だが)華やかな雰囲気で目立つ。

仕事は見つかると思う。

「とりあえず、明日、〇〇シェフと木俣さんに会うことになってるから」

ふたりは渡仏前に萌花が勤めていたレストランの、シェフとソムリエだ。

 

春分は、スタートラインでもある。

私たちの人生も、動き出した。