選挙だったりする。統一地方選。
しおかぜ町にも、選挙カーが来る。
そりゃあ、来る。
うるさい。
候補者が懸命なのは理解しているが、
私だって、集中して仕事をすることもある。
もう少し、音、小さくしようか。
この時間、学校は授業中だぜ。
関係ないが、思い出した。
私が小学校の低学年だったとき。
暮らしていた場所で言うと、前の前。
当時は新興住宅地だった町である。
町内会長さんが、市会議員に立候補するという。
今の自治会長みたいな立場だ。
うちの家族が越して来る前から、
地域の世話をしてきた方で、
市のお偉方にも、影響力があるらしい。
もっとも、うちの両親が言ってた話で、定かではない。
私は、まだガキンチョで、
世の中のことなど何も知らなかった。
さてさて、選挙運動初日、
その人の自宅前で出陣式があった。
選挙カーの上で、勇ましく手を振る。
「〇〇〇〇、町内のみなさまの応援を受けて、行ってまいります」
(このセリフは私の想像)
町内のひとたちが、拍手をする。
そのとき、うちの母親のとなりにいた、
立候補者の息子が言ったそうだ(母親談)。
「オヤジが当選するわけないやん、あほらし」
それを聞いては、盛り上がるわけがない。
結果がどうだったのかは記憶にないが、
おそらく、である。
得票数が、家族の数より少ない。
ウソかホントかわからない話も聞くけれど……
そこまでひどくはなかったんじゃないかなあ。
記憶にないので、想像だけど。
投票には行く。
棄権はしない。
どうしても投票したい候補者がいない場合は、
白票を入れに行く、わざわざと。
無効票とされて、結果には関係ない。
ただの自己満足だ。
それでも投票所に足を運び、
白票を入れることに意味はある。
もちろん、今度の選挙で、
そんなことをしたくない。
だから、
まあ、うるさいけど、
だからね
「応援してね、お願い、お願い。
おじゃましてごめんね。がんばるから、よろしくね」
みたいなことばっかり言わないで。
それって、なんにも言ってないのと同じだから。