しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

しおかぜ町から2023/03/31生きて生きて生き抜いてください

よく相談をされる。
何かの専門家でもない私に、
話をしたいことがある。
そういう人が、なぜかいる。

子弟の進学相談。ご本人のダイエット。柴犬のしつけ。
それに不倫。
泥沼の三者が、すべて私の知り合いときてる。
自治会の人間関係。
頼むよ、私も巻き込まれる。
で、この時期、多い相談が……

仕事を辞める。転職したい。その類だ。
年度が切り替わるこの時期に、どうしてだろう。
なにか区切りをつけたいと考えるのだろうか。

相談には乗る。
ただ、この手の話をしてくる人は、
もう決心をしているのだ。
それを間違えると、
不評を買うことになる。

私には、背中を押してほしいだけなのだ。

だから
「いや、慎重に考えた方がよくないですか」
そう言うと、気色ばむ相談者がいたりする。
「なんなんすか? なんで、そんなやる気をなくすこと言うんすか」
いや、相談してきたの、あなたでしょ、である。

コロナ前のことだ。
超一流企業(Pから始まる、誰もが知っている家電メーカー)の社員さんが話をしにきた。
さすがである。
萌花が働いているフレンチレストランの客。
通常のコースで二万円する。

その彼が
会社を辞めて起業するという。
なぜそれを、フリー(と言えばカッコいいが無職の)の私に、相談するのだ(萌花のせいだ)。
「慎重に考えた方が、よくないですか」
そう答えるのが、普通だろ!

すると、

そいつが怒りだした。
「なんで、そんなやる気をなくすことを言うんだ」ときたもんだ。
まさに典型的な反応だ。

さすがに、私も頭に来て、売り言葉に……

後日、萌花に謝りに行った。

「えー」
「ごめんな。ついつい。あの人が怒るもんだからさ」
「まあ、いいよ。三ツ色さんがそう思うんだったら、どうせうまくいかないだろうし」
そう言われると、ちょっとうれしい。
「別に常連さんじゃないし、平気だよ。ごめんね、やっかいなこと振っちゃって」

彼女はそう言ったが、
今でも、知らない人からたまにメールが来る。

「萌花さんに伺ったのですが」

おいおい。

 

 

※さて、年度末です。。

明日から新年度。

新社会人のみなさん、

正規だの非正規だの、アルバイトだの、

いろいろありますが、じじいどもが企んだ分断に負けず

生き抜いて行ってください。

ほんとうに、

生きて、生きて、生き抜いていってください。