このハムカツサンド、好き。
しおかぜ町には「タ〇ーズ」がないので、
出かけたときに寄る。
そこで、たまに会うのがロンバード。
行動パターンが似ているからか、
ランチタイムだからか、
今回は、すでにいた。
また、たくさん食っている。
パスタとエッグマフィンにドーナッツ。
グランデサイズのアイスコーヒー。
お腹、チャポンチャポンになりそうだな。
大食いYOU。
前に座ってもよかったが、
隣のテーブルが空いていた。
「カラーズさん、そっち?」
「YOUのテーブル、スペースないやん」
「しゃべりにくいな」
私は、話をしたいわけではなく、
ハムカツサンドを食べたいのだ。
「気にしないから、スマホでも見てなよ」
「ファーイ・ジャパニーズ・ピーポォー。
寂しいだろー」
厚切りジェイソンのマネ。
ウケると図に乗る。無言。やりすごす。
私はロイヤルミルクティーに、
砂糖を入れてかき混ぜた。
あきらめたか。
厚切りロンバードは本当にスマホを見始めた。
ただ、長く黙っていられる性格ではない。
「フワちゃんのプロレス試合、見た?」
笑ってしまった。
「話題のチョイスがユニークだな」
しばらく、その話題で盛り上がる。
プロレス技の名前は、ネイティブの発音だ。
私には勉強になる。
憎めないYOU。
1時から仕事なんだよ。
ロンバードが立ち上がる。
語学学校の講師である。
中学や高校にも、非常勤で出向いている。
実は、キンパッつぁんの勤務校だ。
日本人の先生とペアで授業をする。
「頑固なジジイなんだ」
文句は言うが、
生徒と接するのは楽しいらしい。
「みんな素直。純粋。
悪く言えば、少し子供っぽいけど。
素直さや純粋さを笑うヤツがいたら、そいつはクソだ」
熱血YOU。
「アリーベデルチ、またな~」(※)
威勢の良さとはウラハラに
お辞儀をして去って行く。
後ろ姿を見送っていると
段差のところでガクッとなっていた。
『段差注意』な。
不注意YOU。
※プロレス団体「STARDOM」の中心選手、ジュリアの決め台詞