ロンバードと出くわした。
いつものタリーズではなく、
近くの商業施設にあるスターバックスだ。
「おや」
「おや」
萌花のフランス語臨時講師である。
「三ツ色さん、久しぶりね。最近はこっち?」
「いや、この上の『無印良品』に来たついで」
同意も得ず、私の前に座る。
ドーナツが2個とでかいラテが、トレーに乗っかっている。
「萌花さんは元気ですか」
「あなたのおかげで、ことばに困ってる様子ではないよ。
メルシーボクとか言ってる」
「あはは、それくらいは。まあ、でもよかったよ」
「お世話になりました」
「どういたしまして」
カナダ人のロンバードは、
大谷がブルージェイズに行かなかったことを嘆いた。
「もともと、ドジャーズが本命だったじゃないか」
「そうだけど、残念だよ。かなり有力って報道されてたし」
「ボクはカルガリー出身ね。大都会だよ」
「トロントとは」
「だいぶん離れてるね」
「だよね」
なんじゃ、それは。
「でも、やっぱりカナダ人としてはね」
まあ、わからないではない。
いつものように、どうでもいい世間話を30分ほどしてスターバックスを出た。
「じゃあ」
「今度、オンラインで萌花さんと話すとき、ボクも招待してくださいよ」
「聞いておくよ。でも、朝が早いよ。向こうのゆっくりする時間に合わせるから」
「わかりました。だいじょうぶ」
ほんとかなあ。
萌花にLINEする。
「別にいいけど、あの人、ぜーったい起きないと思うよ」
思うことは同じである。