しおかぜ町も、悪天候。
古紙や段ボール回収の日で、
雨の中を運ぶ。意外と気温が低い。
さて、ジョージである。
金髪、グリーンの瞳。
ヨーロッパ系のグッドルッキング。
東洋の血は流れていない。
1歳になる前に、母親と日本にやって来た。
「物心ついたときには、
(神戸の)御影(みかげ)駅近くの公園で遊んでました」
それから、およそ30年。
少し〝濃いめ〟の日本人だ。
私立高校の教師である。母校だそうだ。
学校が卒業生を迎えたことになる。
クラス担任もある。
この春からは高校2年生の担当らしい。
英語の先生と間違われるが(間違う人を責めない、と本人談)
担当は国語である。
演劇部の顧問。
私はそれが縁で、ジョージ先生と知り合った。
在学中も、その部に所属していたらしい。
「高校生のときは、どんな役をやったの?」
「三ツ色さん、だいたいわかるでしょ。すべて、外国人の役ですよ」
期待通りのこたえだ。
「しかもね、なぜか日本語が得意じゃないガイジン。『エキイク、オシエテ』とか
『ワタシ、ニホンゴ、ワカリマシェーン』とか」
まあ、仕方ないですけどね、と彼は笑う。
気持ちは複雑だろうが、怒っているわけではない。
「見た目は、見た目ですからね。
僕に徳川家康の役をやらせる演出家がいたら、馬鹿でしょ。
あ、コントとかなら、おもしろいかも」
そのジョージの、あだ名が「キンパッつぁん」。
もちろん「キンパツ先生」から派生している。
現役高校生が「金八先生」を
知っているのかどうかは不明だが、
あのキャラクターを知っている世代にとっては
めちゃくちゃ面白い。
「ちゃんと、先生と呼びなさいって注意するんですけどね。
すぐに『キンパッつぁん、キンパッつぁん』って。
職員室に来ても『キンパッつぁん、いらっしゃいますかあ』」
慕われているのだろう。
生徒たちの気持ち、
わかる、わかる。
※画像は「いらすとや」さんのフリー素材をお借りしました。