しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

しおかぜ町から2023/04/15〝見た目〟の話

しおかぜ町も、悪天候

古紙や段ボール回収の日で、

雨の中を運ぶ。意外と気温が低い。

 

さて、ジョージである。

金髪、グリーンの瞳。

ヨーロッパ系のグッドルッキング。

 

東洋の血は流れていない。

1歳になる前に、母親と日本にやって来た。

「物心ついたときには、

(神戸の)御影(みかげ)駅近くの公園で遊んでました」

それから、およそ30年。

少し〝濃いめ〟の日本人だ。

 

私立高校の教師である。母校だそうだ。

学校が卒業生を迎えたことになる。

クラス担任もある。

この春からは高校2年生の担当らしい。

英語の先生と間違われるが(間違う人を責めない、と本人談)

担当は国語である。

演劇部の顧問。

私はそれが縁で、ジョージ先生と知り合った。

在学中も、その部に所属していたらしい。

「高校生のときは、どんな役をやったの?」

「三ツ色さん、だいたいわかるでしょ。すべて、外国人の役ですよ」

 期待通りのこたえだ。

「しかもね、なぜか日本語が得意じゃないガイジン。『エキイク、オシエテ』とか

『ワタシ、ニホンゴ、ワカリマシェーン』とか」

 まあ、仕方ないですけどね、と彼は笑う。

気持ちは複雑だろうが、怒っているわけではない。

「見た目は、見た目ですからね。

僕に徳川家康の役をやらせる演出家がいたら、馬鹿でしょ。

あ、コントとかなら、おもしろいかも」

 

そのジョージの、あだ名が「キンパッつぁん」。

もちろん「キンパツ先生」から派生している。

現役高校生が「金八先生」を

知っているのかどうかは不明だが、

あのキャラクターを知っている世代にとっては

めちゃくちゃ面白い。

「ちゃんと、先生と呼びなさいって注意するんですけどね。

すぐに『キンパッつぁん、キンパッつぁん』って。

職員室に来ても『キンパッつぁん、いらっしゃいますかあ』」

 

慕われているのだろう。

生徒たちの気持ち、

わかる、わかる。

 

 

※画像は「いらすとや」さんのフリー素材をお借りしました。