今日のしおかぜ町は、雨が降りそうで降らない。
デカい傘持って、歩いてるというのに。
これでは「降るかも詐欺」である。
まあ、降られないほうがいいんだけどね。
金髪ロン毛男が、ビニール傘を振り回しながら歩いていた。
宗介さんだ。
「どうしたんですか」
「いや、なんか小さい虫が飛んでてさ」
なるほど、たまにあるけど。
事情を知らないと、ただの危ない人ですよ。
通報されるよ。
「それは、困る。息子に迷惑がかかる」
彼は、キンパツ先生のお父さんだ。
「ジョージさん(キンパッつぁんの本名だ)は、
忙しいんでしょうね」
教員の労働時間の長さは、ニュースになっている。
「うん、夜遅くに帰ってきて、朝早く出て行く。
疲れてると思うんだよね」
息子大好きパパが、心配そうに言う。
話していると、小さな虫が飛んできた。
宗介さんの顔のまわりを飛ぶ。
「もう!」
傘で撃退しようとして、さっきの話を思い出したようだ。
手で追い払う。
「なんで、虫は俺に寄ってくるんだ」
宗介さん、なにか虫が好む匂いがするんじゃないですか?
「そうかなあ」
脇の下に、鼻を近づけてクンクンやっている。
いや、そこが匂うってどうよ!
おっさんには、付き合ってられんわ(^_^;