ルーメンと話した。
オンライン。今は青森にいると言う。
本当かどうかは、知らない。
占い師である。
職業と名前は神秘的だが
ZOOMの画面の彼女は、ヘラヘラ笑っている。
〇〇(本名)は、
私の知る、そして、
彼女のクラスメイトが知っている彼女のままだ。
「センセーは転機なんだよ。ここが節目」
タロットカードの「死神」を見せて、ルーメンが言う。
「おい、なんか不吉だな」
「うーん、逆位置だからそうとは言えない。そうだな、スクラップ&ビルドとか
意識改革とか、そんな感じ」
「そうか‥‥」
壊して再生するのは悪くない。
「当たるんだろうなあ」
ルーメンが苦笑する。
「よく、そんな身も蓋もないこと言えるなあ」
数秒、視線を上に向けて考えている。
「ギャンブル好きな男が、ときどき同じこと言うよ。
次の日曜日は、運がいいのかとか聞いてきてさ。
『比較的、いい日です』って言うと、
『ホントか?』って。
『当たらなかったらどうするんだ?』って。
知らねーっての」
私が叱られている気分になる。
「ギャンブルなんて、当たるか外れるか五分五分じゃん。
それがロクヨンになれば御の字じゃん。なにを文句たれてんだって。
いい歳したおっさんが、占い師に詰め寄ってどうすんだって」
完全にストレスのはけ口になってしまった。
昔の彼女も、もやもやの解消に苦労していたものだ。
「あ、ごめーん。△△(私の本名だ)に怒ってるわけじゃない」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。〇〇(本名だ)のそういうのは慣れてる」
「うるせー」
これからの一年を占ってもらって、オンラインを終えた。
いいことが多かったので、もう「当たるのか」なんて思わない。
最後にルーメンが言っていた。
「100パー(%)当たる占いなんて、あるわけないじゃん。
人それぞれ違うんだから。それがいいんでしょ。
60%合ってたら、よしってことで」
確かに、全部言い当てられたら、人生はつまらない。
※「ルーメン」も仮名です