しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

しおかぜ町から2023/03/20②

ルーメンと話した。

オンライン。今は青森にいると言う。

本当かどうかは、知らない。

占い師である。

職業と名前は神秘的だが

ZOOMの画面の彼女は、ヘラヘラ笑っている。

〇〇(本名)は、

私の知る、そして、

彼女のクラスメイトが知っている彼女のままだ。

「センセーは転機なんだよ。ここが節目」

タロットカードの「死神」を見せて、ルーメンが言う。

「おい、なんか不吉だな」

「うーん、逆位置だからそうとは言えない。そうだな、スクラップ&ビルドとか

意識改革とか、そんな感じ」

「そうか‥‥」

 壊して再生するのは悪くない。

「当たるんだろうなあ」

 ルーメンが苦笑する。

「よく、そんな身も蓋もないこと言えるなあ」

 数秒、視線を上に向けて考えている。

「ギャンブル好きな男が、ときどき同じこと言うよ。

次の日曜日は、運がいいのかとか聞いてきてさ。

『比較的、いい日です』って言うと、

『ホントか?』って。

『当たらなかったらどうするんだ?』って。

知らねーっての」

 私が叱られている気分になる。

「ギャンブルなんて、当たるか外れるか五分五分じゃん。

それがロクヨンになれば御の字じゃん。なにを文句たれてんだって。

いい歳したおっさんが、占い師に詰め寄ってどうすんだって」

 完全にストレスのはけ口になってしまった。

昔の彼女も、もやもやの解消に苦労していたものだ。

「あ、ごめーん。△△(私の本名だ)に怒ってるわけじゃない」

「だいじょうぶ、だいじょうぶ。〇〇(本名だ)のそういうのは慣れてる」

「うるせー」

これからの一年を占ってもらって、オンラインを終えた。

いいことが多かったので、もう「当たるのか」なんて思わない。

最後にルーメンが言っていた。

「100パー(%)当たる占いなんて、あるわけないじゃん。

人それぞれ違うんだから。それがいいんでしょ。

60%合ってたら、よしってことで」

 確かに、全部言い当てられたら、人生はつまらない。

※「ルーメン」も仮名です