しおかぜ町も、梅雨の中休みである。
暑いって、まったく。
今からこんなに暑かったら、12月になったらどうなるねん、という
たいして面白くない冗談を思い出した。
湿度も高く、みんな、いらいらしているのかも知れない。
「まったく、クソみたいなニュースばっかりだな」
喫茶『エルベ』で香田さんが怒っている
神戸で6歳の男の子が亡くなった記事を読んでいる。
確かに、私も同感だ。
少子化問題、人口減少と騒いでいるのだ。
子供は宝だぞ。
「そうだ、そうだ」
香田さんは、私の同意を得て意気が揚がる。
「それに、なんだ、広末」
あれ、そっちの話題に行っちゃう?
「まあ、あれでこそヒロスエって感じですけど、えへへ」
私の反応が、香田さんは気に食わない。
例によってガムシロップをふたつ入れたアイスコーヒーを啜る。
しおかぜ町から2023/05/18「運のお裾分け」 - しおかぜ町から
「うん? センセーは広末の肩を持つわけ?」
て言うか、私らには関係のないことだし、
ヒロスエとキャンドルさんとシェフ(濃い登場人物たち)。
「まあ、ワシも、広末と付き合う可能性はないけど」
ない、ない、0%どころか虚数空間くらいだよ。
「猿之助……」
また、話が変わった。きりがない。
途中から「はいはい、そうですねー」と、逆らわないようにした。
相づちを打ちながら、外を見ると日傘をさした男性。
最近はよく見かける光景だ。
「ワシも持っとるがな!」
香田さんから意外な返答。
自慢げに見せてくれる。ライトブルーの折りたたみ傘。
「晴雨兼用で便利」
そうですか。時代の先端ですね、香田さん。
確かにパラソルをさしたくなる天気である。
今からこんなんじゃ、12月には……
暑くてアホになりそう。