萌花と同居していた、”さすらいの占い師”ルーメンが
移動することを決めたらしい。
もともとヨーロッパをさすらうつもりだったのだ。
すでに、二ヶ月以上萌花のアパートに滞在してくれた。
「萌花ちゃんは大丈夫だし、私もそろそろ動かなきゃ」
モニターの向こうのルーメンが言う。
「そうだな。いろいろ、ありがとな」
「いえいえ、滞在費、むちゃくちゃ助かったもん。感謝だよ」
年が明けたら、南フランスからイタリア、
その後、スペイン、ポルトガルを巡るそうだ。
「私は、春に日本に戻るけど、萌花ちゃんはまだまだだね」
「うん」
画面の左から、萌花が顔を出す。
「日本でお花見したい」
「萌花ちゃんの代わりに、私が三ツ色さんとお花見デートしてあげるから。
あなたは、ここでヤキモチ焼いてなさい」
ルーメンが、萌花を怒らせることを言う。
もう定番のやり取りだ。
キミたちベテランお笑いコンビみたいになってるぞ。
「そういえば」
ルーメンが、今年の『M-1』の結果を尋ねる。
『令和ロマン』ってコンビだったと教える。
「『さや香』じゃなかったのかあ」
「最後まで残ってはいたけどね」
しばらく他愛ない話をして、ビデオ通話を切った。
今はネット環境さえあれば、どこにいても繋がることができる。
顔を見て話すことができる。ありがたいことだ。
さて、クリスマスの今日は月曜日。
日本は休日というわけではない。
私も怠けてないで、いろいろと……
そう思いながら遅い朝食を摂った。
うーん。シャキッとしなくちゃな。