しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

しおかぜ町から2024/01/08成人の日に

しおかぜ町も成人の日である。

市のホールの前に、新成人が集まっていた。

気のせいかも知れないけど、人数少なめ。

少子化の影響なのか?

私の気のせいなら、いいのだが。

市民ホールは川沿いにある。

しばらく歩いていると、なんと、

キンパッつぁんと出くわす。

スーツでキメている。

彼の勤務校では、いつも顔を見ているが、

休日に、こんなところで。

「おやおや」

「あ、いつもお世話になってます」

「そのセリフ、一昨日も聞いたけど」

思わず苦笑い。黒崎樹里亜さんの、初レッスンのときだ。

「そうですけど、三ツ色さんも何してるんです?

まさか成人式じゃあるまいし」

私はただの散歩である。

「そのまま、お返しするよ。君も成人式と関係ないだろうが」

「ところが、そうでもないんですよ」

なんでも、晴れ着姿の写真をいっしょに撮りたい、

そんな卒業生がいるそうだ。

「おうおう、ジョージ君はモテるもんな」

「そんなんじゃないですけど。まあ、慕ってもらってありがたいですよ」

キンパッつぁんの浮いた話を、私は聞いているのだが、

それはまたいずれ。

 

キンパッつぁんと別れて、途中の有名なブーランジェリーでパンを買う。

チーズとワインを合わせれば、ホリデイのリッチな昼食だ。

外国映画みたいに、フランスパンの紙袋を抱えて歩く。

右側の川を眺めながら、ぶらぶら歩いた。

河口。海に出るところ。

左側に横断歩道がある。

実は道路が合流していて、戸惑う車も多い。

私は、信号を確認して横断しようとした。

まさか、年明けそうそうに

こんなことになるなんて。

左側から、ワーゲンが突っ込んできた。

ボンネットに頭をぶつけたのは覚えている。

そのとき、私が思ったのは

フランスにいる萌花のことと、

黒崎さんの受験のことだった。