しおかぜ町から

日々のあれこれ物語

しおかぜ町から2023/06/18冒険占い師帰国、からの……

ジブチからルーメンが帰国した。

しおかぜ町から2023/05/30冒険占い師ルーメン - しおかぜ町から

外務省は、ジブチへの渡航は、

考慮するように発表している。

とにかく、無事で何よりだ……

 

と思ってたら、いきなり、しおかぜ町に来ると言う。

電話。もうすぐ着くらしい。

「いや、お前、ジブチからウチの駅前って」

「センセーの家、わかんないから迎えに来てよ」

「家に来られてたまるか」

「えー!」

 

さすがに疲れたので、

神戸の実家に向かう途中だそうだ。

成田から、東京、新大阪、途中で降りて、しおかぜ町。

いやいや、直接、神戸に行く方が便利だぞ。

「センセーに会いたいやん。

ほんとにうれしかった。安心したし。だから、会いたいねん」

現地のルーメンと、オンラインで話した。励ました。

それで、わざわざ来てくれるのなら

ありがたいことではある。

「わかったわかった。とにかく、

駅の南側に『ひがしむら珈琲店』がある。そこで」

「了解!」

慌てて、準備をする。

部屋着だった。急いで着替える。

白いTシャツの上にカーディガン、

黒いジーンズ。

ただ、急いでも14,5分はかかる。

てっきり、ルーメンが先に来て、

コーヒーショップにいると思っていた。

「センセー!」

向こうからルーメンが走ってくる。

「お。おう……」

その先を言う前に、抱きつかれた。

「会いたかったよー、センセー」

路上で、

なぜか中東風ファッションの女性と

カーディガンおやじが、抱き合、いや、ハグをしている。

通行人がチラ見するが、ただ、通り過ぎていく。

関わり合いたくないのは明らかだ。

 

ルーメンは、なかなか放してくれない。

「センセー、会いたかったよう」

私の胸の中で繰り返している。

さすがに、突き放すのもどうかと思い

そのままにしていた(ちょっと、いい香りもした)。

 

すると、

彼女の肩越し、別の女性と目が合った。

20メートルほど先、

萌花。

目を丸くして、こちらを見ている。

「うわ」

一秒か、二秒後だったと思う。

『踵を返す』というト書きが、台本にあったら、

それを演じる女優のように、

萌花は180度ターンし、

立ち去ってしまった。

おーい、萌花!

いっそ、そばに来て叱ってほしかった。

 

【この項続く】